漢方薬とは
○漢方薬の理論
漢方医学は、インド医学と同じように宇宙哲学の理論から、人間の永遠の欲望である不老長寿によって発展を遂げた、世界有数の人間全体の医学です。
漢方医学は、中国5千年とも言われる歴史の中で、体験的、現実主義的な思想によって営まれた、世界最古の臨床医学です。しかも、西洋医学にはない「未病療法」分野では、現代でも東西随一の療法として注目を浴び続けています。
例えば、体質的に考えられる病気を未然に防いだり、検査では異常がないのに不調を感じることがあるなどの症状に対応したり、体質を改善するなどです。検査をして病名をはっきりさせてから治療にあたる西洋医学とは異なります。
○漢方薬の特徴
漢方薬の特徴は、植物療法だけでなく、自然界に存在するすべての自然物を対象に利用しています。
自然界に存在する物には、化学分析では解明できない、微妙な成分や化学反応、毒消し作用などがあり、それを意識的に組み合わせて、不思議な能力として引き出し、人体に対する微妙な影響を観察しながら、伝承的に体系化してきました。 漢方薬の中で使われている藥は、生薬と呼ばれ、“人体の中に入って、生き物のように働く薬”と言う意味を持っています。当然の事ながら化学物質の物は一切使用せず、自然界の産物だけを利用します。
○漢方薬と体質
人間の身体には、生まれ持った先天的体質と、生活や環境の変化による後天的な体質とがあります。漢方薬はこの二つの体質をふまえ、自然界の物を利用しながら治癒あるいは矯正するシステムです。
治療対象は個人であり、他の人が同じ症状を訴えていても、必ずしも療法や処方などが同じになるとは限らず、その人その人に合わせたパーソナルな対応が必要となります。自分がある漢方薬を飲んで調子がいいと言って、同じ様な症状の人に同じ漢方薬をすすめて飲ましたとしても、その人が必ずしも良くなるとはいえず、変わらないまたは逆に悪化してしまうことなどもあります。
身体全体から診断を行うので、同じ症状でも処方される薬が違う(同病異治)、違う症状でも処方が同じ(異病同治)ということが、当たり前のように行われます。
○体質を見極めるには
診断し漢方薬を選択する上で、その人の体質を見極めることが大切になります。その見極めに対していくつかの概念によって行われます。虚実(体力や病気に対する抵抗力)、陰陽(病気の現れ方や新陳代謝の状態)、気血水(気のめぐり、血液循環、水分代謝)、五行論(現象における相互関係をや調和を説明する物)などによって行われています。これらのことから体質を判断し、そのことを漢方では“証”といいます。
○名称の意味
漢方薬には名前の最後に・・・湯、・・・散、・・・丸、・・・膏の文字がつけられています。これは、漢方薬を伝承的に使用してきた本来の使用方法を示したものです。
・・・湯
漢方薬の名称の中で一番使われているものですが、古来生薬を土鍋に入れて煮出して服用していたものでした。
・・・散
古来生薬を粉末にしてそのまま服用してきたものでした。
・・・丸
古来生薬を粉末にしたものを、蜂蜜や水を加えてよく練り込み、必要に応じて一定の大きさにちぎったものを服用してきたものでした。これは携帯や貯蔵に便利で、外でも簡単に服用できる特徴があったのと同時に、薬効の持続性が長く、一般に慢性病や虚弱体質疾患に用いられてきました。
・・・膏
治療と製造方法によって内服用と外用とに分かれ、内服用は生薬を繰り返し煎じたものに、補助剤(蜂蜜、黒砂糖など)を加えたものを服用していました。外用は、生薬を粉末にして、食用油、蜂蜜などを加え、患部に貼付していました。
また、名前とは別に服用方法として、・・・丹、・・・酒などがあります。
・・・丹
水銀や硫黄などを含む鉱物類を熱昇華させて出来た化合物で、作用が強く、丸薬よりも小さくして服用していました。
・・・酒
薬用酒としてきたことです。
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