みみずくの藥局
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炭疽(炭疽菌)について


国立感染症研究所 感染症情報センター ホームページ参照
感染症の話 1999 年第46週(11月15日〜21 日)掲載分を一部抜粋


炭疽
炭疽は炭疽菌によっておこる疾病であり、全世界に存在する公衆衛生上極めて重要な人畜共通感染症である。初めて純培養されたコッホの三原則を満たす病原菌で、パスツールが初めて弱毒生ワクチンを作ったのは有名な話である。典型的な土壌菌で、干ばつ、洪水、長雨などの異常気象のあと、土中の芽胞が土表面に現れ、外気温に暖められた沈泥中で増殖する。炭疽菌はいったん芽胞をつくると長い間(少なくとも数十年)栄養素がない状態で土壌や動物製品などに存在することが可能である。

疫学

感染経路によって、その症状が異なる。皮膚から感染して、発症する皮膚炭疽が95%以上を占め、それ以外はきわめて希と考えて良い。皮膚炭疽の場合、比較的少ない菌量で感染が成立し、一般的に切り傷や擦過傷によって炭疽菌が表皮下に侵入することによって罹患すると考えられている。野外で放置された死体に犬、猫および他の野生動物が群がり芽胞を散布する以外は特に媒介動物や増幅動物は存在しない。
 アジア、南北アメリカ、ヨーロッパ、アフリカと全世界で今でも地方病として発生がみられる。アメリカやカナダではバッファローでの発生がみられる。トルコ‐パキスタン間は炭疽ベルトと言われ、年間数百人の患者を数える。西アフリカでは象を中心とした野生の草食獣に日常的にみられ、ザンビアの全土で炭疽菌が検出されている。ハイチで年間数百人の患者を出している。現在、わが国ではヒトおよび家畜にほとんど見られなくなった。まれに、密殺解体した肉を食べたことによって集団発生したこともある(1965年岩手県)。それ以外では1973年まで毎年1から2人みられたが、それ以降1998年まで数人感染したのみ(一人死亡)でほとんど見られなくなっている。


病原体

 国炭疽は炭疽菌(Bacillus anthracis)によって発症する細菌感染症である(図1)。炭疽菌は芽胞を形成する好気性グラム陽性大桿菌(1-2 x 5 -10μm)で、溶血性や運動性を示さない。感染動物内では単独か短い連鎖をするが、人工培地で培養した場合、長い連鎖を形成する。炭疽菌は大気中で数時間内に芽胞を形成し、熱、化学物質、pH、紫外線などに抵抗性がある。栄養型は一般的な人工培地によく増えるが、他のBacillus属の栄養型より比較的死に易い。

臨床症状

感染経路によって症状は異なる。しかしながら、95%以上は皮膚炭疽である。皮膚炭疽では特徴的な病巣を形成し、腸炭疽と肺炭疽の場合、初期に「風邪様」の症状を呈するのみで特徴的な臨床症状はない。髄膜炎を呈した場合には、早い段階に治療しないとほとんど助からないと考えて良い。ヒトからヒトへの感染はない。 皮膚から炭疽菌が侵入した場合、感染後2から3日で小さな紫あるいは赤色の腫れを生じる。感染後3から4日で水泡がその紫の腫れを囲むようにできる。二次感染がなければ、その領域には痛みはない。5から7日で潰瘍が生じ中央部に黒褐色の痂皮(炭疽癰;carbuncle)が形成される(図2)。そのまま治療されず放置しておくと高熱、副腎の肥大、大きな浮腫などが見られ、外毒素によるショック並びに死にいたることもある。

 腸炭疽は炭疽菌に汚染された食品や飲み物を摂取することによって発生する。その臨床症状は二つの型に分けられ、腸型と口咽頭型に分かれる。腸型の症状は悪心、嘔吐、熱、腹痛、吐血、血便、腹水の貯留などである。すぐに治療されない場合、外毒素によるショックや敗血症に進行し、死に至る。なかには緩慢な症状の場合もある。口咽頭型の場合、喉の乾き、嚥下障害、熱、首のリンパ節に腫脹がみられ、最終的に敗血症をおこす。

炭疽菌の吸入によって起こる肺炭疽の場合、発症例が極めて少ないことから、実際の症状についての情報は乏しい。はじめは風邪様の症状を呈する。縦隔リンパ節の顕著な腫脹がみられるのが特徴の一つである。初期症状の後、呼吸困難による「急死」、チアノーゼ、昏睡などがみられる。急性症状が出た後、治療にかかわらず24時間以内に死に至る可能性が高い。


病原診断

臨床症状で診断するには困難を呈する。特に腸炭疽と肺炭疽は緩慢な初期症状の場合が多く、患者の職歴や疫学情報に頼るしかない。したがって、診断は炭疽菌を分離同定するのが確実な方法である。滲出物(皮膚炭疽)、痰(肺炭疽)、嘔吐物、糞便、腹水(腸炭疽)から炭疽菌の分離あるいは同定を試みる。菌の同定に莢膜染色、免疫沈降試験(アスコリー反応)、γファージテスト、PCRなどがある。抗生物質による治療後は、試料中に炭疽菌が検出できないこともあるので注意を要する。

治療と予防
ヒト用のワクチンはわが国では販売されていない。アメリカ、イギリスで死菌ワクチン、中国、ロシアで生菌ワクチンが販売されている。治療にはペニシリンが有効とされるが、耐性菌の存在も報告されている。アミノグリコシド、マイクロライド、キノロン、テトラサイクリン系の抗生物質には一般的に感受性であるので、代用できる。クロラムフェニコールも有効である。菌血症の場合には、抗生物質による治療が有効でない場合が多い。

生動向調査について

炭疽は全数把握疾患で4類感染症に分類されている。 報告基準は以下の通りである。
 ○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断がなされたもの。
  ・病原体の検出
   例:病巣組織や血液からの菌の分離・同定(検鏡・培養)と、分離した菌のガンマファージテスト、パールテスト、アスコリーテストによる確認など。



*炭疽(炭疽菌)に関する情報を、今回国立感染研究所感染症情報センターホームページより抜粋致しました。あくまで情報として掲載致しておりますので、この件に関する質問やお問い合わせは一切お断り致します。ご了承下さい。






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